2011年3月23日水曜日

社会起業とは何か?・いま世界の若者の熱い視線を浴びる「社会貢献」とは


【3月12日から11回連続で掲載の東北大地震特集シリーズは3/22掲載分をもって終了させていただきました】

いま若者の職業選択に新しい潮流が!

米国の大学生就職人気ランキング1位に「NPO法人」

昨年(2010年)のアメリカの大学生就職戦線において人気ランキング1位になったのはなんと「Teach for America」というNPO法人であった。

IT業界で今をときめくグーグルやアップルの超人気企業を差し置いてこの非営利団体がトップの座に踊り出たのである。

これはにわかに信じ難い話ではあるが歴然とした事実なのである。

いったいアメリカの学生に今何が起っているのであろうか。

それを説明するにはまず「社会起業」と今の大学生を取り巻く状況について述べることなくしては始まらない。

いま世界の大学トップの座に君臨するハーバード大学ビジネススクールでは「社会起業コース」が1番の人気であると言う。

ハーバードほどの名門大学の学生をそれほどにを引き付けている「社会起業」とはいったいどういったものなのであろうか。

インターネットによれば社会起業とは「社会にはびこる諸問題を解決してその建て直しに貢献する組織の設立および運営のことを言う」という説明がある

TEACH for AMERICAとは

ではその組織の筆頭核であり、アメリカの大学生就職人気ランキング第1位に輝いた「Teach for america」とはどんな組織であるのだろうか。

「Teach for america」とは教育のよく行き届かない米国の貧困地域に有名大学卒の学生を送り劣悪な教育環境を改善する事を目的として設立された組織である。

ではそうした組織に超一流企業を蹴ってまでなぜ学生の応募が殺到するのであろうか。

これははっきり言って非常に理解に苦しむ現象である。

なぜなら資本主義経済社会のトップに君臨するアメリカという国に居ながらなぜNPOのように例え利益が上がってもその配分が法的に禁じられているいわば資本主義経済の対極にある組織にそれほどの魅力を感じるのであろうか。

それについては結論から述べると「アメリカのエリート学生たちが現代社会に潜む様々な歪を解消しようと一念勃起して社会貢献のためにに立ち上がったのだ」と言えるのではないだろうか。

「Teach for America」ほどではないが同じように学生の人気になっている組織に「Room to Read」というNPOがある。

その組織の理念とは次のようなものである。

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世界には今なお、読み書きが出来ない人が7億人もいます。

学校に行くことができない子どもたちだけでも1億人にのぼります。

教育の欠如は、貧困の連鎖を生むだけでなく、母子の健康に悪影響を及ぼし、乳幼児の死亡率を高め、子どもや女性の人権侵害の原因にもなります。

開発途上国の経済を発展させ、母親と幼い子どもたちを伝染病から守り、少年兵少女売春などの子どもの人権侵害を無くし、女性を社会的に解放するためには、教育、特に初等教育の普及が最も有効であることは、国連やその他の学術機関による調査で明らかになっています。

私たちルーム・トゥ・リードは、アジア、アフリカの開発途上国において、現地のNGOや村の人々などのコミュニティと協力して、学校や図書館などの教育に必要な施設を建設しています。

また、現地語や英語の図書を寄贈したり、少女が学校に通えるようにするための奨学金を提供するなど、さまざまな方法で教育の機会を提供しています。

教育は、子どもたちにとって生涯の贈り物になります。

教育は、子どもたちだけでなく、家族や家族を取り巻く町、村、国、そして次世代の社会や経済を変える力を持っています。

教育は未来への希望を生み出します。

子どもたちに未来を。
子どもたちに希望を。

教育をとおして、子どもたちに提供する。
それが私たち、ルーム・トゥ・リードのミッションです。

(出典:ユネスコ)

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アメリカほどではないが日本にも今「社会貢献」の波は押寄せてきている。

社会貢献型自動販売機

例えば街角の自動販売機で「1本お買い上げごとに~円を世界の貧困を救う社会貢献団体に寄付します」等というキャッチコピーをご覧になったことはないだろうか。

これなどはまさしく飲料会社のCSR(企業の社会的責任)を果たす運動の一環であり、これから企業が避けては通れない動きを示す一例である。

東北大地震では各企業が競って救済運動を展開

また今回の東北大震災では各企業は先を争うように震災地の住民に対して様々な救済運動を展開している。

こうした動きを見てもいま企業が大きく社会貢献に目覚めてきたがゆえである。

面接の自己PRで社会貢献を口にする学生が多い

また「最近の学生の就職活動では面接の自己PRに際して社会貢献を口にする学生が多くてもう辟易するぐらいだ」と愚痴をこぼす人事担当者も多くなっている。

いま若者の社会貢献にかける気持は熱く、この潮流はしばらくは止まらないのではなかろうか。

参考文献「社会貢献でメシを食う」
竹井 善昭著 米倉 誠一郎 (監修) ダイヤモンド社

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